一般社団法人栗原青年会議所 2022年度 理事長所信

高橋 正樹

【はじめに】

「我々は栗原で生きる青年であることに誇りを持ち、世界人たらんとする目標を定め、栗原の大地の上に人々によって奏でられる歓喜のうた声を現実のものとすべく、ここに集い栗原青年会議所を設立いたします」

この一文から始まった栗原青年会議所は「より豊かな明るい地域の創造」を目指して、 1971年に設立され、「栗原はひとつ」を基本理念にしてこれまで51年に渡り、先輩諸兄がまちづくりの運動を推進して参りました。また2020年に設立50周年という 大きな節目を迎えたことにより、これまで多くの先輩諸兄が積み重ねてきた活動と伝統を再認識し、我々の愛する地域の為に精一杯活動して参ります。

今年度は会員一人ひとりが自分たちの地域に誇りを持ち、地域を明るく照らすリーダーとなり、地域の魅力を最大限に発信していく事業の展開を行うこと、そして会員全員で共に活動を行う新たな同志の拡大の実施、地域の発展を共に行う為に行政・企業・市民との連携の強化に取り組んで参ります。しかし2020年より発生した新型コロナウイルスの影響により、世界中の国々で甚大な被害を受け、現在はそのような懸念がいつ再起するか分からない状況であり、また地球温暖化によりここ数年間では2019年にあった台風19号を始め記録的な豪雨災害により日本各地で多くの被害を受け、減災・防災対策を行っていく必要があります。このように多くの諸問題が山積している現在、私たちは常に制限がある現状を踏まえて地域を背負う青年経済人として重要な使命があります。それは変動が激しいこの時代にどう対応していくべきか、そして未来を担う次世代の為に私たちがこの地域をより明るい豊かな地域にする為に率先して行動していかなければなりません。明るい話題が少ないこのような時代だからこそ、暗く物事を考えず常に明るく前向きにこの愛する地域の為に1年間前進してまいります。

【協力し合う・助け合う組織へ】

ひとつの目標に向かって皆で協力し合うことの大切さ・助け合うことの大切さは私自身がこの団体で一番学んだことです。これは青年会議所のみならず、どの組織にも必要とされることです。「自分には関係ないから知らない、他人に任せておけばいい」誰もがそう思ってしまったことはあるのではないでしょうか。青年会議所では毎月開催される例会を始め、出向先で様々な各種大会があります。ひとりの力では限界があり、共に協力し合う助け合う仲間がいるからこそ、仲間と心を一つにして目標に向かって活動出来るのだと私自身は思います。

人は人で磨かれることでお互いに成長し、新たな可能性を見出して挑戦していくことが大切であります。よって一人ひとりが個人・企業・行政の垣根を超えて活動するトライセクターリーダーとなり、様々な困難にも恐れず挑戦することが出来る組織を作ることにより、リーダーシップの向上に繋がり更なる組織強化に努めてまいります。

「仲間のために」「家族のために」「地域のために」誰かの為に頑張ることで人はより力を発揮します。青年会議所は未来を切り開く組織です。愛する地域の為に一人ひとりが共に協力し合い、助け合うことを常に意識して組織の強化を努める為に、まずは組織を推進する為に、問題・課題の要因を的確に抽出すること、そして現在栗原青年会議所が抱えている問題・課題の分析を行い、より魅力的な組織へ変革し、一人ひとりが率先して行動するリーダーとなり、地域の発展の為に行動します。

【積極的な会員拡大】

青年会議所では40歳で卒業という決まりがあります。全国的にも会員数が年々減少並びに在籍年数が少なく卒業してしまう会員の増加が多い昨今、栗原青年会議所にとっても会員の増員は急務な課題であります。

長引く経済状況の悪化、若者の都市部への流出、そして新型コロナウイルスの影響により様々な職種の方々に影響が出ている現状でありますが、やはり自分たちの地域を変えていく為には我々若い世代の力が一番必要であります。自分たちの地域を活性化していく為にまずは我々がこの地域を明るい豊かな地域にしていこうという強い志を持って共に活動をしていく仲間を増やしていかなければなりません。

これまで栗原青年会議所の過去10年間の会員拡大を振り返ると一時的に会員の数が増えた年、入会が1名だった年と入会増減数が激しい傾向にあります。また活動を続けていくことに限界を感じて卒業まで迎える事が出来ずに退会してしまった会員がいたことも事実であります。私自身も一度青年会議所から足を遠のいていた時期がありましたが、今このようにまた青年会議所活動を行うことが出来たのはやはり仲間の存在であります。共に活動する仲間、そして声をかけてくれた先輩諸兄がいたからこそ今の自分があります。

青年会議所活動は仲間と共にかけがえのない時間を過ごすことが出来る団体でありますが、時には例会・事業開催を運営する上で様々な問題・苦労に直面することもあります。しかし成功へ導いた時の達成感を共に味わった仲間は一生の財産となり、その後の交友関係にも繋がります。40歳までという限られた期間で活動を行う青年会議所は「JCは最後の学び舎である」と言われております。在籍年数を問わずにこの青年会議所活動を通じて多くの「気づき」や「学び」を得るために、一生を共に出来る多くの仲間を求め、今年度は組織の垣根を超えた全員参加型の会員拡大を行います。

まずは全員で拡大方法の共有を行う為に、LOMの現状を踏まえた会員拡大の手法の検証を行い、そして会員候補者を招いて我々の活動をより認識していただく為にJCの魅力を伝えること並びにより親睦を深める為の交流会を開催し、地域を共に牽引する新たな仲間と活動を行う為に、全員で積極的に会員拡大に努めてまいります。

【ネットワークをより活かした運営】

2012年以降から急激なスマートフォンの普及が進んだことにより、PCと遜色ない機能が提供され、インターネットへの接続は、PCから徐々にスマートフォンへ移行が始まり、2015年にはスマートフォンがPCを逆転したと言われています。そして、利用されるコンテンツやコミュニケーションツールにも変化が生じ、メールでのやりとりが一般的でしたが、Twitter、Facebook、LINEをはじめとするSNSが登場したことにより、コミュニケーションのあり方が大きく様変わりしました。

2022年現在、私たちの日常生活においてはPC・スマートフォンを通じて行うコミュニケーションは生活の一部となっています。また新型コロナウイルスの影響により現地に集まることが難しくなってしまったことにより、2020年からWEBでの会議運営という新たな手法が普及したことにより、運営方法の幅が広がってきました。

ネットの普及により人との繋がりが希薄になってきているのではという意見もありますが、現在はWEBを活用して多くの方が運営しているのも現状であります。しかし人と直接会って打合せをする、SNSを利用して情報共有をすることで、共通することは運営を行う上で大切なことは報告・連絡・相談の徹底だと私自身思います。

誰でも行っていることだと感じている人もいると思いますが「当たり前のことを当たり前にやる」運営に限らず何ごとも日々の小さな積み重ねが大切であります。よって実施開催に至るまでの報告・連絡・相談の徹底、そして一人ひとりが常に我々のニーズに沿った更なる情報共有が行える組織運営に努めてまいります。

 

【地域の人たちとの交流・連携】

「田舎なんかに住みたくない、早く都市部に上京しよう」10代の頃の私は常にそのようなことばかり考えていた時期がありました。地方にいても何もない、絶対に都市部で就職しよう、常に最先端の環境にいたい、ただそのようなことばかり思っていました。私自身都市部で働いていた時期がありましたが、帰省し地元で働くことになりました。当初、地元で働き始めた時感じたことは東北地方の多くの地域が「人口減少・若者の流出・超高齢化が進んでいるこの地方には未来はあるのか」「地元で働いていても先行きが暗いのではないか」と思っていました。

そんな矢先、会社の取引先の方から栗原青年会議所への勧誘がきっかけで入会することになった私は、そこで初めて地元で活動している青年経済人の方々と交流を持つことになりました。始めは何の活動をしているのか分からず、たまに顔を出すくらいにしようとしか思っていませんでした。転機となったのは入会3年目の年に委員長をすることになり、事業を担当することになりました。そこで私は事業を行う際に行政の方々を初めとする一般市民、学生、企業の方々と共に事業を行ったことにより、自分の地域の現状・課題に関心を持つようになりました。そして地元の地域活性化という部分で私自身が感じたことはシャッターだらけの商店街、縮小化している地元の祭りと目に見えるように地域が衰退化してきているのだと当時の私は率直にそのような考えを持ったことを覚えています。

また栗原から都市部に移住して働いている方々、そして子どもたちは「一度栗原から離れたら将来帰れる故郷があるのか」「このままでは自分の故郷が無くなってしまうのではないのか」よって「この地域を守っていくのは地元にいる私たちしかいない」と思いました。そこで私は未来を担う若い世代が地域の行政・他団体・企業を牽引し、共に協力し合い、地域の発展の為に率先して行動していかなければならないと考えます。

よって2022年度は地域の人と人を結びつけて地域の活性化を行う為に、地域の方々との交流を深めること、そしてそれぞれの枠にとらわれることのない連携を行うことが重要であります。立場・所属団体によって考え方・価値観は様々ではありますがこの地域を良くしていきたいという思いは皆、共通しているのです。「自分たちの地域は自分たちで作る」という意識を持ち、共に協力し合うことで、より一層この地域の活性化につなげるために行動してまいります。

 

【共催する公益事業へ】

2013年度より開催してきた「ジョブKidsスマイルタウンくりはら」は地域の問題を企業と共有して開催を行い、今年度で10年目を迎える事業になります。これまで教育委員会様を始め、多くの市内の企業様のご協力のもと、この事業を開催することが出来ました。市内の子どもたちに職業体験を通して楽しみながら社会の仕組みを学び、将来への選択肢を増やすこと、そして地元企業の魅力を知っていただくことを目的として開催してきましたが、一昨年より新型コロナウイルスの影響により、実地での開催が出来なかったのが現状であります。

また今年で38回目と長きに渡り開催されてきたわんぱく相撲栗原場所の継続事業の開催に致しましては宮城県北の小学生を対象に行い、相撲という国技を通じて礼儀作法の大切さを学ぶこと、試合に勝った時の喜び、負けた時の悔しさを知り、多くのわんぱく力士がこの栗原場所を通じて成長することが出来た事業であります。

これまで長きに渡り開催されてきた2つの事業でありますが今後は行政・他団体と共に開催する方向性に進めて参ります。共催することにより新たな可能性を見出し、事業の活性化につなげること、そして次世代の明るい未来を切り開くために地域の事業として開催してまいります。

 

【2022年度東北青年フォーラムin栗原主管】

公益社団法人日本青年会議所東北地区協議会最大の運動発信の場として、これまで長きにわたり開催されてきた東北青年フォーラムの主管を致します。私たちが活動の拠点とする、栗原市は宮城県の北西側にあり、東に古くから米の名産地として知られる登米市、西に温泉街として有名な鳴子、南に古川都市圏を中心とする大崎市、北に岩手県の最南端に位置する一関市、北西部に秋田県の南部に位置する湯沢市が近隣する地域であります。

栗原市には江戸日本橋を起点に津軽半島の三厩まで続き、日本最長の街道である旧奥州街道、東北地方有数の金属供給源として、県内で唯一認定された細倉鉱山関連遺産、一尺角のケヤキをくさびだけで組んだ四脚門と大きな二階建ての関所遺構が残存している、国の史跡に指定されている仙台藩花山村寒湯番所跡など多くの歴史遺産があります。

観光地としましては東北地方の中央に位置し、宮城・岩手・秋田の三県にまたがり、奥羽山脈の女王とも呼ばれている栗駒国定公園の主峰である標高1626mの栗駒山、栗駒山の標高669から707m地帯に広がる細長い湿地で高山植物の宝庫として有名な世界谷地原生花園、栗原市と登米市にまたがり、湖面いっぱいに咲き誇るハスの花が魅力の東北最大の低地湖沼「伊豆沼・内沼」平成20年の岩手・宮城内陸地震にて上流で山体崩壊し、「荒砥沢ダムの上流崩壊地」として日本の地質百選に選定されている荒戸沢、広さ13000平方メートルあり、アヤメやカキツバタ、ハナショウブなどを植栽し、約300品種22万株を整備されている山王史跡公園と地域が誇る観光名所が多数ある地域でもあります。また食文化としましてはその種類は50種類以上あり、正月や祝い事に餅を食べる餅文化、豊かな土壌に恵まれ、県内有数の良質米と栗駒山系を水源とする湧水が豊富なこの地域の特徴を生かした自慢のお酒、日本イワナ養殖発祥の地といわれており、栗駒山麓の清水が育むイワナを料理した栗駒耕英の名物岩魚丼、そばの里として有名な甘くて香り豊かな秘湯花山そばなど地元の食材を多いに生かした食文化があり、「東北青年フォーラム㏌栗原」の開催に至って主管をする私たちは地域のたからを栗原市の行政・企業と共に発信し、より地域の活性化につなげる為に、この機会を最大限に生かすことが重要であります。

しかし2020年上旬から発生している新型コロナウイルスの影響によりここ2年間はオンライン開催を余儀なくされており、本来であれば現地で東北各地の皆様にこの栗原の地に足を運んでいただきたい、栗原の魅力を多くの人に触れていただきたいのが栗原青年会議所一同としての率直な想いです。しかしコロナ禍により先行きが見えないこのような現状だからこそ、主催する東北地区協議会と共に、地域の発展、市民・参加者の意識向上につながる大会を開催していきます。東北青年フォーラム㏌栗原を通じて会員一人ひとりの成長、組織として運動発信力の強化につなげること、そして市内企業・行政団体・法人団体との連携をつなぐことで、より一層地域との強いネットワークを築き、地域のたからを協働して発信する機会とします。また東北青年フォーラムを主管するには行政の皆様を始めとする市内の他団体、企業、諸先輩方の多大なるご協力が必要となります。皆で心を一つに連携を組み、共に大会を開催するそして成功へ導くという強い意志を持つこと、そして2020年、2021年と現地開催が出来なかった南陽青年会議所、郡山青年会議所の想いを胸に刻み、挑まなければなりません。

最後にこの東北青年フォーラム㏌栗原を通じて一人でも多くの東北地方の皆様に「また栗原市に行ってみたいね」と思っていただける大会の実現に向けて、皆で一致団結して大会運営に努めること、そしてこの大会で得た経験を今後の活動により活かし、地域の活性化を行う上で大きな原動力となる機会にしていきます。

 

【むすびに】

青年会議所には多くの出会いや機会があります。私自身この青年会議所活動を通じてこれまで栗原青年会議所諸先輩方を始め、出向にて県内・県外の多くの仲間に出会えたこと、そして事業運営を通じて多くの貴重な経験を得ることが出来ました。その中でこれまでの活動で私自身が得ることが出来たこと、それは共に活動を行ってきた仲間というかけがえのない存在、失敗を恐れずに挑戦した人しかチャンスはないということ、そして会社・家族を始め多くの皆様の支えがあるからこそ青年会議所活動が出来るこということです。長引く経済不況、新型コロナウイルスの影響によりまだまだ先行きが見えないこんな時代だからこそ何事も前向きに考え、自分たちの地域は自分たちで変えていくという自覚を持つこと、後悔することなく自信を持って行動すること、そして共に気概と覚悟を持ち、希望に満ちた地域の実現に向かって1年間活動して行きましょう。