一般社団法人栗原青年会議所 2023年度 理事長所信

三塚 真太朗

【はじめに】

一般社団法人栗原青年会議所(以下、栗原 JC)は、1971年、全国で469番目の青年会議所として設立され、本年で53年目を迎えます。これまでの先輩諸兄の地域貢献、まちづくりに対する熱い想いと、思い描いた、より良い未来の姿を実現せんとする行動力により築き上げられてきた歴史に敬意を表するとともに、こうして栗原 JCが53年目の活動を迎えられることに深く感謝いたします。

我々の活動エリアである栗原市は、平成の大合併により10町村が合併し形成され、北は岩手県、西は秋田県と隣接した宮城県内で最も広い面積を有する地域です。その、広大な地域の中には、素晴らしい自然環境と人々が共存する光景が存在します。栗原市の象徴として、日本二百名山、花の百名山としても知られ、春夏秋冬四季折々の表情を見せてくれる栗駒山、水鳥の生息地として冬には多くの渡り鳥が飛来し、日本の音風景百選にも選ばれたラムサール条約登録地である伊豆沼があります。この二つの観光資源は全国的にも有名であり、シーズンには多くの観光客が栗原の自然を楽しみにやってきます。また、市内の広大な土地の大部分には田畑が広がり、米どころとして、実りの秋には一面黄金色の稲穂に覆われます。このように自然環境豊かな栗原市ですが、産業も非常に栄えた時代がありました。昭和の時代までは日本有数の鉱山であった細倉鉱山を中心に、その鉱山関連の事業を生業とした人々が暮らすコミュニティが形成され、旧町村時代の栗原郡としての人口は最大で約14万人を誇りました。その後現代に至るまで、地域産業の衰退、少子高齢化、都市部への人口流出など様々な要因により、半世紀のうちに人口はピーク時の半分となり、旧町村単位のコミュニティの名残もあることから主となる市街地が形成されず、衰退の一途をたどっています。このような現状については、一部の都市部を除いて、同様の悩みを抱えた地方自治体が圧倒的多数なのではないでしょうか。今まさに我々の世代は地域存続の岐路に立たされているのです。生まれ育ったこの地域に市内外の人が魅力を感じ、多くの人が訪れ、万人が住み続けたいと思うような活気あふれる地域にしていくために、これまでの先輩諸兄の熱い想い引継ぎ、我々青年世代から真のリーダーとして地域を牽引する人財を輩出し、地域再生のために栗原 JC として志高く活動をしてまいります。

【地域を立て直すための3つの柱】

2023年度、栗原青年会議所では「地域経済」「まちづくり」「青少年育成」を3つの柱として活動してまいります。

1つ目の「地域経済」についてですが、私は次に続く「まちづくり」と経済は切っても切れない関係であると考えています。なぜならば、現代の日本は資本主義経済の考えにのっとり生活をしている人が大多数を占めているからです。それを踏まえた上で、栗原にとっての明るい豊かな社会、すなわち持続可能な地域づくりということを考えると、その地域に住む大多数の人々が経済的に豊かになるよう住みよい環境を整え、かつ栗原の自然環境を存分に生かし、地域経済と自然環境の両立を確保したかたちをつくることが、住み続けたいと思えるまちの一つのモデルになるのではないかと考えています。人々が住み続けたいと思う地域とするために、まずは地域経済の活性化という視点からとらえて活動を行ってまいります。

2つ目の「まちづくり」についてですが、前段の地域経済と自然環境の両立ということを考慮し、地域の特色や、これからまちづくりを行っていく上での地域の強みというものが何であるのか、今現在このまちに足りないものは何なのか、その点をより掘り下げて進めてまいります。若者から大人まで万人が住み続けたいと思い、子供たちが、自らが生まれ育った地域に希望を見出せるまちづくりを考え活動してまいります。

3つめの「青少年育成」についてですが、これからの地域の未来を担っていく今の子供たちに向けて、自らが生まれ育った地域を誇りに思い、愛し、将来さらなる地域の可能性を見出してくれる、そんな人財が溢れるまちになるよう愛郷心を育む活動を行ってまいります。

【一人ひとりが経済人として「地域経済」への理解を深める】

現在の日本国内における社会問題は多岐にわたりますが、その一つに少子高齢化社会が挙げられます。多くの地域で人口減少などの問題を抱えていますが、その先には日本経済全体の縮小という状況が待ち受けています。このような状況下で、今後地域経済を活性化させていくためには、その地域の強みを活かした新たな産業を創出することが求められます。そして、地域経済の活性化を考える上で、まずは我々自らが地域経済についての構造を深く理解することが必要不可欠となります。地域経済については、大きく分ければ地域外の需要からなる域外市場産業、地域内の需要からなる域内市場産業の二つに分類できます。地域再生の核となる部分はこの前者に当たる域外市場産業の強化を図ることです。それにより新たな雇用創出、所得の増加が期待できます。また、域外市場産業の強化を図ることにより、地域の市場規模が拡大し、その結果、域内市場産業の需要も増え、地域経済の好循環が生まれます。このような地域経済の基本となる部分から、社会全体の経済の仕組み、そして地域経済とまちづくりの相互関係といった部分を我々自らが学ぶことで経済についての理解を深め、若者から大人まで万人が住み続けたいと思うまちづくりに繋げてまいります。

【住み続けたいと思う「まちづくり」】

地方衰退の要因の一つに若者の都市部への流出問題があります。そのことについて、2019年、私が委員⾧の職を任されたときに、市内の全高校の2年生を対象にアンケート調査を行わせていただきました。アンケートの内容は栗原市が好きか、栗原市にこれからも住みたいと思うか、将来栗原市で働きたいか、栗原市には何が足りないかという内容のものでした。アンケートの回答を集計した結果、最初の設問は私の予想していた結果とは違い、良い意味で裏切られました。栗原市が好きだと回答した割合は未回答を除き75%が好きだとの回答だったのです。好きだと答えた理由は住み慣れた場所で落ち着く、自然が豊かというものが多数でした。しかし、栗原市にこれからも住みたいかという設問では55%が住みたい、将来栗原市で働きたいかという設問では31%が働きたいという結果にとどまりました。その理由は便利な都会に出たい、やりたい仕事がないというものがほとんどでした。そして栗原市には何が足りないかという設問では、多くが商業施設や娯楽施設、やりたい仕事ができる企業という回答となりました。この結果から若者は、生まれ育った栗原は好きだが、楽しむ場所がなく、不便だと感じており、やりたい仕事をする環境が整っていないという一つの結論が導き出されました。私はこの結果を見て、若者が生まれ育った地域に残りたいと思える環境を早急に整える必要があると感じました。そのためには、他の地域から栗原に魅力を感じてこの地に訪れてもらうことで、市内の経済活動を活性化させ、多様な職業選択をできる環境づくりを行っていくことが求められるとも感じました。栗原には素晴らしい自然環境があり、それは観光資源としての役割を果たし、現在も多くの方々が観光に訪れています。その自然環境を守りつつ、市内で暮らす人々、市外から訪れる人々にとって、より魅力のあるまちをつくっていかなければなりません。栗原市には、栗原JCの先輩方が発起し、誘致が実現した東北新幹線くりこま高原駅や、複数の東北自動車道のインターチェンジ、三陸道へとつながる宮城県北高速幹線道路など充実したインフラ設備があります。そしてこれから開発が進むことが望まれているくりこま高原駅前や企業誘致のために整備した工業団地があります。これらの恵まれた環境を有効活用しない手はありません。若者から大人まで万人が住み続けたいと思い、子供たちが、自らが生まれ育った地域に希望を見出せるまちづくりを市民とともに考え、行政に提案してまいります。

 

【これからの地域を担う子供たちの成⾧と未来を見据えた「青少年育成」】

持続可能な地域づくりを考えたときに、これからの地域の未来を担っていく今の子供たちが、自ら生まれ育った地域を誇りに思い、地域を愛するという気持ちを持つことが重要になってきます。そのためには、子供たちに栗原の「まち」と栗原の「人」を知ってもらい、そして自らを育ててくれた地域に「感謝」の気持ちを抱ける、そういった人間に成長していく機会が必要となります。そこで、栗原JCでは子供たちに向けた2つの事業を開催します。

一つ目は、礼儀、礼節、そして感謝を学ぶ機会として、今年で第39回目を迎えるわんぱく相撲栗原場所の開催です。栗原はもともと相撲が盛んな地域であり、第1回わんぱく相撲全国大会開催の時と同時にわんぱく相撲栗原場所を開催し、先輩諸兄の努力や栗原市相撲連盟の方々のご協力により、⾧きにわたりわんぱく相撲の歴史を刻んでまいりました。本年においても、相撲道から得られる学びを子供たちに提供できる機会とさせていただき、子供たちの成長につなげてまいります。

2つ目は、地域の大人、企業と子供たちが関われる貴重な機会であり、今年で第9回目を迎えるジョブKIDSスマイルタウンくりはらの開催です。この事業は、子供達に、栗原にもたくさんの素晴らしい企業があり、その仕事に誇りを持って携わっている大人たちがいるということを身近に感じてもらい、将来の栗原の経済活動を今度は自分たちが担っていくという自覚を持ってもらうとともに、参加していただく企業様方には、まちづくり参画への意識向上をしていただくことを目的として開催いたします。そして、この事業は本年で9回目の開催を迎えますが、栗原JC主催の事業から、他の団体や行政なども含めた他の機関への事業譲渡も視野に入れて考えていかなければならない、成熟した事業の位置づけとなってきています。これからのジョブKIDSスマイルタウンくりはらの行く末を見据え、さらなる地域発展のために最善の方法を模索し活動をしてまいります。

 

【新たなる同志の発掘】

私が青年会議所に入会したきっかけは、地元の尊敬する先輩からの誘いによるものでした。最初は、青年会議所という団体についての知識も乏しく、内容はよくわからないが、この人に誘われたのであれば入ろうかという程度の気持ちで入会しました。今ではその時に声をかけていただき、そのタイミングで入会できたことに感謝をしています。なぜならば、その時に入会しなければ関わりを持てなかったであろうたくさんの方々とつながりを持つことができ、そして個人としても青年会議所での活動を通じて学びを得て、成⾧をすることができたと実感できる場面が数多くあったからです。青年会議所の目指す大目標は明るい豊かな社会ですが、その目標に近づくためには、様々な社会問題、地域課題を解決するために、そのことについて真摯に向き合う人たちが、たくさんのアイディアを出し合い、意見を交えて課題に向き合うことが不可欠であります。そして何より、同じ志を持った数多くの同志が必要となります。そういった活動の中で、青年会議所に入会することでしかできない経験、仲間づくり、そして自己成⾧を、自らの人生にとってプラスの要素としながら明るい豊かな社会に向かって同志とともに限られた時間の中で熱く活動をして行く、そんな団体として魅力を感じてもらえるよう、我々の活動を地域の青年世代に広く理解をしてもらい、メンバー全員で会員拡大を行ってまいります。

 

【むすびに】

我々が青年会議所のメンバーとして活動を行える時間には限りがあります。その限られた時間の中でどれだけ社会にとって、自分にとって価値のある行動ができるのか、それは自らの意思により大きく変えることができます。JCでの活動に費やした時間を無駄にすることなく、意味のある行動とするために、是非目標をしっかりと定めて、自らのために、そして地域の未来のために、新たな価値を見出し邁進してまいりましょう。